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Analog Obsessionコンプレッサー9種類の倍音特性完全比較

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音楽制作において、無料でありながら有料プラグインに匹敵する品質を誇るAnalog Obsessionのコンプレッサー群。今回は、VariMoon-High、BUSTERse、dBComp、FetCB、FETish、KolinMB、LALA、OSS、VariMoonの9種類について、それぞれの倍音特性と音質的な違いを徹底的に解析します。

DTMユーザーであれば誰もが直面する「どのコンプレッサーを使えばいいのか?」という疑問。この記事では、各コンプレッサーのモデリング元機器、独特な倍音特性、そして楽器別の最適な使い分けまで、プロの制作現場で培われた知見を基に詳しく解説していきます。

Analog Obsessionが愛され続ける理由

Analog Obsessionは、Krotos Audio出身のTolga Bahtiyar氏が開発する無料プラグインブランドです。すべて無料でありながら、数十万円するハードウェア機器のアナログ感を忠実に再現している点が最大の魅力です。

Analog Obsessionの特徴

  • 完全無料:全プラグインが無償配布
  • 高品質なモデリング:実機の音響特性を詳細に解析
  • 低CPU負荷:軽量設計でストレス無く使用可能
  • 豊富なラインナップ:EQ、コンプ、サチュレーターなど100種類以上

特にコンプレッサーは、真空管(バリミュー)、FET、VCA、オプト(光学式)といった異なる回路方式による音響的な違いを見事に再現しています。

9種類のコンプレッサー完全解析

真空管系コンプレッサー

1. VariMoon-High(Fairchild 670系)

 

モデリング元:Fairchild 670やGates STA-Levelなどの真空管バリミュー(Variable-Mu)コンプレッサー

倍音特性の特徴真空管由来の豊かで音楽的な偶数次倍音を付加します。深くコンプレッションすると、サチュレーションが増し、暖かみと太さが強調されます。特に2次、4次倍音が顕著で、これが暖かく包み込むような音質を生み出します。

音質的な特徴

  • スムーズで自然なコンプレッション
  • 「グルー(接着剤)」効果が非常に高い
  • 音に重厚感とビンテージな質感を付与
  • アタックとリリースが音楽的に動作

最適な用途
ボーカル、ベース、ミックスバス、マスタリングに最適です。複数の音源を自然にまとめたい場合や、音に暖かみと存在感を与えたい場合に真価を発揮します。

2. VariMoon(スタンダード版)

 

VariMoon-Highの基本版で、同様の真空管特性を持ちつつ、よりクリーンな動作が特徴です。初心者にも扱いやすく、幅広い音源に対応できる汎用性の高いコンプレッサーです。

3. LALA(Teletronix LA-2A系)

 

モデリング元:Teletronix LA-2A

倍音特性の特徴光学素子(Optical)による検知と真空管アンプによる暖かく豊かな偶数次倍音が特徴です。LA-2Aの独特な「呼吸するような」自然なダイナミクス制御を見事に再現しています。

音質的な特徴

  • プログラム依存のスムーズなアタック・リリース
  • 極めて音楽的で透明なコンプレッション
  • ボーカルに艶やかな質感を付与
  • レベル均一化と存在感の両立

最適な用途
ボーカル、ベース、アコースティックギター、ストリングスなど、滑らかさが求められる音源に最適です。

FET系コンプレッサー

4. FETish(Urei 1176系)

 

モデリング元:Urei / Universal Audio 1176 “Blackface”

倍音特性の特徴FETコンプレッサー特有のアグレッシブでパンチのある奇数次倍音を付加します。インプットを高く設定すると、サチュレーションが増し、力強いサウンドになります。特に3次、5次倍音の追加により、前に出てくるような音質を実現します。

音質的な特徴

  • 超高速なアタックとリリース
  • トランジェントを鋭く、エネルギッシュに処理
  • 「全押し」(All-Buttons-In)モードも再現
  • ボーカルを前面に押し出す効果

最適な用途
ボーカル、ドラム全般、ベース、ギターに最適。パラレルコンプレッションにも多用され、音に存在感と力強さを与えます。

5. FetCB(Chandler Germanium系)

 

モデリング元:Chandler Germanium Compressorなどのゲルマニウムトランジスタ使用FETコンプレッサー

倍音特性の特徴ゲルマニウムトランジスタによる暖かくも独特な歪み(奇数次倍音と偶数次倍音のブレンド)を持ちます。設定によって、スムーズなサチュレーションからファジーでダーティな質感まで作れます。

音質的な特徴

  • 太く、クリーミーで密度のあるサウンド
  • フィードバック回路による独特のコンプレッションカーブ
  • 非常に音楽的なダイナミクスコントロール
  • 個性的なキャラクター付与

最適な用途
ドラム、ベース、ボーカル、シンセサイザーに効果的。音に個性的なキャラクターと厚みを加えたい場合に最適です。

VCA系コンプレッサー

6. BUSTERse(SSL G-Series系)

 

モデリング元:SSL G-Series Bus Compressor

倍音特性の特徴VCAタイプのため比較的クリーンですが、独特の倍音が付加され、音にパンチとまとまりを与えます。強くかけると、わずかに高域が強調され、アグレッシブな質感になります。

音質的な特徴

  • ミックス全体をまとめる「グルー」効果で非常に有名
  • アタックが速く、トランジェントを維持
  • 透明感を保ちつつダイナミクス制御
  • パンチのあるサウンド生成

最適な用途
ミックスバス、ドラムバス、ピアノやギターなどのステレオ音源。ミックスに一体感と力強さを与えたい場合に不可欠です。

7. dBComp(dbx 160系)

 

モデリング元:dbx 160シリーズなどのVCAコンプレッサー

倍音特性の特徴クリーンで倍音付加は少ないですが、ハードニー設定で強くかけると、アタック感が強調され、パーカッシブなサウンドになります。

音質的な特徴

  • 「スラップ」や「スマック」と表現される硬質な音質
  • アタックの速い音源のキャラクター強調
  • シンプルで扱いやすい操作性
  • 直感的な音作りが可能

最適な用途
ドラム(特にキック、スネア)、ベース、パーカッションに非常に効果的。音のアタックを強調し、前面に押し出したい場合に最適です。

マルチバンド・その他

8. KolinMB(マルチバンドコンプレッサー)

 

モデリング元:Collins 26Uなどのビンテージ・リモートカットオフ・コンプレッサーの思想をマルチバンドに応用

倍音特性の特徴各バンドで独立してバリミュータイプのコンプレッションを行うため、帯域ごとに暖かく自然なサチュレーションを付加できます。

音質的な特徴

  • マルチバンドでありながら非常に音楽的
  • 各バンドが自然に動作し、全体として自然な仕上がり
  • 帯域別の精密なダイナミクス制御
  • 音源のバランスを崩さない処理

最適な用途
マスタリング、ミックスバス、複雑な音源(ドラムループ、フルミックスされたシンセなど)に最適です。

9. OSS(チャンネルストリップ)

 

モデリング元:SSL、APIなどのビンテージ・ソリッドステート・コンソールからインスパイアされたオリジナルデザイン

倍音特性の特徴クリーンでありながら、アナログ回路を通したような絶妙なサチュレーション感を持ちます。強くドライブさせると、ソリッドステートらしいエッジの効いた倍音が付加されます。

音質的な特徴

  • EQ、コンプレッサー、ゲートが一体化
  • シンプルで扱いやすい操作性
  • 直感的で素早い音作りが可能
  • クリアでパンチのあるサウンド

最適な用途
チャンネルストリップとしての総合的な音作り、ドラム、ベース、ギターなど、個々のトラックの基本処理に便利です。

楽器別最適コンプレッサー選択ガイド

ボーカル

  1. LALA:自然で艶やかな質感
  2. VariMoon-High:暖かみとビンテージ感
  3. FETish:前に出るアグレッシブさ

ドラム

  1. dBComp:アタック強調、パンチ重視
  2. FETish:全体的なパワー強化
  3. BUSTERse:ドラムバスのまとまり

ベース

  1. VariMoon-High:太く重厚な低域
  2. LALA:滑らかで存在感のある音
  3. FetCB:個性的で厚みのある音

ミックスバス

  1. BUSTERse:定番のグルー効果
  2. VariMoon-High:暖かなまとまり
  3. KolinMB:精密な帯域制御

プロ制作現場での活用テクニック

パラレルコンプレッション

FETishを使った効果的なパラレルコンプレッション元信号とは別にFETishで強くコンプレッションした信号を作り、元信号にブレンドすることで、ダイナミクスを保ちながらパンチを追加できます。ドラムやボーカルに特に効果的です。

シリアルコンプレッション

複数のコンプレッサーを直列に接続する手法も効果的です。例えば:

  1. LALAで自然なレベリング
  2. BUSTERseでグルー効果を追加

この組み合わせにより、自然さとまとまりの両方を実現できます。

楽器別セッティング例

ボーカル(LALA使用)

  • Peak Reduction: 3-5dB
  • Gain: +2〜+4dB
  • Compress/Limit: Compressモード

ドラム(dBComp使用)

  • Threshold: 低めに設定(-20dB程度)
  • Ratio: 4:1〜8:1の高い比率
  • Attack: 高速(Hard Knee)

ミックスバス(BUSTERse使用)

  • Threshold: -3〜-6dB
  • Ratio: 2:1〜3:1
  • Attack: 10ms、Release: Auto

ダウンロードとインストール方法

入手方法

  1. 公式サイト:analogobsession.com にアクセス
  2. メール登録:無料アカウントを作成
  3. ダウンロード:各プラグインを個別にダウンロード
  4. インストール:VST3/AU形式をDAWに追加

システム要件

  • Windows: Windows 10以降(64-bit)
  • Mac: macOS 10.15以降(Intel/Apple Silicon対応)
  • Linux: Ubuntu 18.04以降
  • フォーマット: VST3、AU、LV2

インストール後の確認ポイント

注意事項
初回使用時は、DAWのプラグインスキャンが必要です。Logic Proの場合は「Logic Pro X > 環境設定 > プラグインマネージャー」から手動スキャンを実行してください。

まとめ:無料の枠を超えたプロ品質

Analog Obsessionの9種類のコンプレッサーは、それぞれが異なる音響特性と倍音成分を持ち、無料でありながら有料プラグインに匹敵する音質を実現しています。

選択の指針:

  • 自然なまとまりを求めるなら → VariMoon-High、LALA
  • アグレッシブなパンチが欲しいなら → FETish、dBComp
  • ミックス全体の統一感を作るなら → BUSTERse
  • 個性的な音作りをしたいなら → FetCB
  • 精密な制御が必要なら → KolinMB
  • オールインワンで手軽に使うなら → OSS

これらのコンプレッサーを適切に使い分けることで、プロレベルの音楽制作が可能になります。まずは各プラグインの特性を理解し、自分の楽曲に最適なものから試してみてください。無料だからこそ、すべてを試して自分だけの音を見つけることができるのが、Analog Obsessionの最大の魅力です。

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