sus4コード(サスペンデッドフォース)の基本理論から実践的な活用方法まで詳しく解説します。浮遊感のある美しい響き、解決パターン、アニソンでの使用例、DTMでの効果的な使い方も紹介しています。
sus4コードとは?浮遊感を生み出す魔法のコード
sus4コード(Suspended 4th)とは、通常の3度の音を4度に置き換えた和音です。「suspended」は「吊り下げられた」という意味で、解決を待っている状態を表します。
基本的な構造
Csus4:C – F – G(C – E – Gの「E」を「F」に置換)
Csus2:C – D – G(C – E – Gの「E」を「D」に置換)
この特殊な響きにより、浮遊感、緊張感、そして美しい解決への期待を楽曲に与えることができます。
なぜsus4コードが効果的なのか?
sus4コードの効果:
- 浮遊感:長調とも短調とも判断できない曖昧な響き
- 解決への期待:4度から3度への美しい解決
- 開放感:広がりのあるサウンド
- 現代的な響き:ポップス、ロックで人気の音色
sus4コードの種類と特徴
1. sus4(サスペンデッドフォース)
最も一般的なサスペンデッドコードです。
構造
ルート + 完全4度 + 完全5度
例:Csus4 = C – F – G
特徴:
- 強い解決欲求
- ロック、ポップスで頻用
- アルペジオ奏法で効果的
2. sus2(サスペンデッドセカンド)
2度を使用したサスペンデッドコードです。
構造
ルート + 長2度 + 完全5度
例:Csus2 = C – D – G
特徴:
- より開放的な響き
- フォーク、アコースティックで人気
- エモーショナルな表現に適している
3. 7sus4(セブンサスフォー)
7度を加えたサスペンデッドコードです。
構造
ルート + 完全4度 + 完全5度 + 短7度
例:C7sus4 = C – F – G – Bb
特徴:
- ジャズ的な洗練された響き
- ファンク、フュージョンで多用
- より複雑な和声感
https://anikiblog.com/anison-chord-progressions-25-selection-2025
sus4コードの解決パターン
1. 基本的な解決(4→3)
最も基本的で美しい解決パターンです。
メジャーコードへの解決
Csus4 → C
(F音がE音に下行して解決)
マイナーコードへの解決
Csus4 → Cm
(F音がEb音に下行して解決)
2. sus2からの解決(2→3)
sus2コードからの解決パターンです。
上行解決
Csus2 → C
(D音がE音に上行して解決)
3. 非解決型
解決せずに他のコードに進行するパターンです。
例
Csus4 → Fsus4 → Gsus4 → Csus4
(解決せずに循環する)

ジャンル別sus4コード活用法
アニソン・J-POP
感情的なイントロ:
Csus4 → C → Fsus2 → F → Gsus4 → G
浮遊感のあるサビ:
Am → Asus2 → F → Fsus2 → C → Csus4 → G
これらのパターンは、アニソンの情緒的な表現において非常に効果的です。
ロック・ポップス
パワフルなコード進行
Csus4 – C – Fsus4 – F – Gsus4 – G – C
アコースティックなアプローチ
Csus2 – Am7 – Fsus2 – Gsus4 – C
フォーク・アコースティック
開放的な響きの例
Dsus2 → D → Gsus2 → G → Asus4 → A → D
オープンコードとsus系コードの組み合わせで、広がりのあるサウンドを作ります。
ジャズ・フュージョン
洗練された進行例
CM7sus4 → CM7 → Am7sus4 → Am7 → Dm7sus4 → G7sus4 → CM7
7sus4コードを多用して、ジャズ的な洗練された響きを演出します。

DTMでの実践的な活用方法
Logic Proでの実装手順
Step 1: 基本コードを配置
– まずは通常のトライアドで進行を作成
– 4-8小節程度の基本パターン
Step 2: sus4/sus2に置き換え
– 効果的な箇所をsusコードに変更
– 解決パターンを意識して配置
Step 3: アレンジで効果を演出
– アルペジオやストロークで表現
– 楽器の音色で浮遊感を強調
効果的な使用テクニック
実践的なアプローチ:
- アルペジオ奏法:分散和音で美しさを演出
- ストロークパターン:リズムで緊張感を調整
- 音域の選択:中〜高音域で効果的
- 楽器の組み合わせ:ピアノ+ストリングスなど
楽器別アレンジのコツ
ピアノ・キーボード
- 両手でのアルペジオ奏法
- ペダルで響きを延ばす
- トレモロで効果を演出
ギター
- オープンコードとの組み合わせ
- フィンガーピッキング
- カポタストで調整
ストリングス
- レガートで滑らかに
- ディヴィジで和音を分散
- ボウイングで表情をつける
シンセサイザー
- パッド系音色で浮遊感
- フィルターワークで変化
- リバーブで空間的な広がり
sus4コードを使った定番進行パターン
1. 基本的な循環進行
パターン1
Csus4 → C → Fsus4 → F → Gsus4 → G → C
解決を繰り返す美しい進行
2. sus2との組み合わせ
パターン2
Csus2 → Fsus2 → Gsus4 → C
異なるsusコードの組み合わせ
3. マイナーコードとの組み合わせ
パターン3
Am → Asus2 → F → Fsus2 → Csus4 → C → G
マイナーキーでの効果的な使用
4. 7sus4を使った進行
パターン4
CM7 → F7sus4 → F7 → G7sus4 → G7 → CM7
ジャズ的な洗練された進行

sus4コードの応用テクニック
1. モーダルインターチェンジとの組み合わせ
例
Csus4 → C → Absus2 → Ab → G7sus4 → G → C
bVIの借用和音にsus2を追加
2. ペダルポイントとの組み合わせ
例
Csus4/G → C/G → Fsus2/G → F/G → Gsus4 → G
ベース音Gを固定してsusコードを使用
3. 転調での活用
例
Csus4 → C → F → Dm → Gsus4 → G → Am(Amキーへ転調)
転調のスムーズな橋渡し
注意点とよくある間違い
避けるべきポイント
注意事項:
- 過度の使用:効果が薄れてしまう
- 解決の欠如:緊張したまま終わらない
- ベースラインの考慮不足:低音域での濁り
- メロディーとの衝突:歌メロとの音程関係
効果的な使用タイミング
- イントロ・アウトロ:楽曲の世界観を作る
- Aメロ:浮遊感のある展開
- ブリッジ:新しい雰囲気への転換
- 間奏:楽器演奏での表現力向上
実際の楽曲での使用例
有名楽曲での使用例
多くのポップス、ロック楽曲でsus4コードは使用されています。特にイントロや間奏部分で効果的に使われ、楽曲に独特の浮遊感と美しさを与えています。
ジャンル別特徴
- フォーク・カントリー:開放的なオープンコードとの組み合わせ
- ロック・ポップス:パワーコードとのコントラスト
- ジャズ:7sus4コードによる洗練されたハーモニー
- アンビエント:長時間持続させた浮遊感の演出

練習問題:実際に作ってみよう
初級編:基本的な解決
Csus4 → C → Fsus4 → F → Gsus4 → G → C
中級編:sus2との組み合わせ
Csus2 → Am → Fsus2 → Gsus4 → G → C
上級編:7sus4を使った進行
CM7 → Am7sus4 → Am7 → Dm7sus4 → G7sus4 → G7 → CM7
まとめ:sus4コードで楽曲に浮遊感を
sus4コードは、楽曲に美しい浮遊感と緊張感をもたらす魅力的なハーモニーツールです。解決の美しさを理解し、効果的に活用しましょう。
今回学んだポイント:
- sus4、sus2、7sus4の特徴と使い分け
- 美しい解決パターンの作り方
- ジャンル別の効果的な活用方法
- DTMでの実践的な実装テクニック
ぜひあなたの楽曲制作にもsus4コードを取り入れて、より美しく浮遊感のある音楽表現を目指してください!
