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R&B系コード進行の作り方:ソウルフルなグルーヴを生み出す12の技法【実例・MIDI付き】

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この記事で学べること

R&B音楽で使われる特徴的なコード進行の作り方を12の技法で解説します。テンションコード、シンコペーション、ゴスペル進行など、ソウルフルなサウンドを作るための実践的な手法を紹介します。

R&B系コード進行が持つソウルフルな魅力

R&B(リズム・アンド・ブルース)音楽の魅力は、豊かなハーモニーとグルーヴ感にあります。ジャズの洗練されたコード理論とブルースの感情表現が融合し、現代のネオソウルやヒップホップR&Bまで幅広く影響を与えています。

R&B系コード進行の特徴
・テンション(9th、11th、13th)の多用
・シンコペーションによるリズム感
・マイナー7thコードを基調とした響き
・ゴスペル的な和声進行

今回は、本格的なR&Bサウンドを作るための12の重要な技法を、具体的な進行例と実践的な活用法とともに詳しく解説します。

R&B音楽におけるコード進行の重要性

R&Bでコード進行が果たす役割:

  • グルーヴの創出:シンコペーションとハーモニーの融合
  • 感情の深化:テンションコードによる豊かな表現
  • ジャンルの特色:ゴスペル、ファンク、ソウルの要素統合
  • 現代的発展:ネオソウル、オルタナティブR&Bへの応用

【1】テンション9thを活用した基本進行

コード構成
Dm9 → G9 → CM9 → Am9(キー:C)
IIm9 → V9 → IM9 → VIm9

9thテンションを全てのコードに付加することで、R&B特有の洗練された響きを作り出します。

9thテンションの効果

  • Dm9(深み):マイナー9thの憂いのある響き
  • G9(推進力):ドミナント9thの前進感
  • CM9(安定感):メジャー9thの開放的な響き
  • Am9(内省的):マイナー9thの感情的深み

実践での活用法

R&B楽曲での使用例

効果的な使用場面:
・Aメロでの落ち着いた導入
・ゆったりとしたバラードR&B
・ネオソウルのメイン進行

演奏のコツ:
・ピアノでの美しいボイシング
・エレピの柔らかい音色
・ストリングスとの重ね合わせ

https://anikiblog.com/anison-chord-progressions-25-selection-2025

【2】ゴスペル風IV-V-I進行

コード構成
F/G → G7 → C → C/E → F → Dm7 → G7sus4 → G7
IV/V → V7 → I → I/III → IV → IIm7 → V7sus4 → V7

ゴスペル音楽から派生した進行で、R&Bの基盤となる重要なパターンです。

ゴスペル進行の特徴

ゴスペル的要素:

  1. スラッシュコード:F/Gによる浮遊感
  2. ベース進行:C-E-F-D-Gの滑らかな動き
  3. sus4の解決:G7sus4→G7の美しい解決
  4. 教会的響き:ゴスペルの伝統的ハーモニー

現代R&Bでの応用

  • サビ前の盛り上がり:感情の高揚を演出
  • アウトロでの感動的な終結:美しい余韻
  • ボーカルとの相性:歌いやすく表現力を引き出す

【3】マイナー7th中心の循環進行

コード構成
Am7 → Dm7 → G7 → CM7 → F7 → Em7 → Am7
VIm7 → IIm7 → V7 → IM7 → IV7 → IIIm7 → VIm7

マイナー7thコードを中心とした循環進行で、クールで洗練されたR&Bサウンドを作ります。

マイナー7th進行の魅力

音楽的効果
・クールで都会的な響き
・ジャズ的な洗練度
・現代R&Bの基調
・ループしやすい構造

ジャンル適用
・ネオソウル
・チルアウト系R&B
・アーバンコンテンポラリー
・ローファイR&B

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【4】クロマチック・ハーモニー進行

コード構成
CM7 → C#dim7 → Dm7 → D#dim7 → Em7 → A7 → Dm7 → G7
IM7 → #Idim7 → IIm7 → #IIdim7 → IIIm7 → VI7 → IIm7 → V7

半音進行を含むクロマチック・ハーモニーで、高度で洗練されたR&Bサウンドを演出します。

クロマチック進行の効果

  • C#dim7(経過音):CからDmへの滑らかな接続
  • D#dim7(経過音):DmからEmへの半音進行
  • A7(セカンダリー):Dm7への強い解決
  • 高度な響き:ジャズ理論に基づいた進行

楽曲での活用例
・Bメロでの展開的な部分
・間奏での高度なハーモニー
・上級者向けのアレンジ
・アドリブセクションの土台

【5】テンション13thを使った色彩豊かな進行

コード構成
Dm7 → G13 → CM7 → A7alt → Dm7 → G7sus4 → C6/9
IIm7 → V13 → IM7 → VI7alt → IIm7 → V7sus4 → I6/9

13thテンションとオルタードコードを組み合わせた、色彩豊かな現代R&B進行です。

高度なテンションの活用

各コードの音楽的役割

G13の効果:
・13th(E音)による開放的な響き
・ドミナントの推進力を保持
・現代的で洗練されたサウンド

A7altの特徴:
・b9、#9、#11、b13の緊張感
・強いドミナント機能
・ジャズ的な色彩感

実践での使い方

  • ネオソウル:D’AngeloやErykah Badu風
  • コンテンポラリーR&B:現代的な洗練度
  • フュージョン系:ジャズとR&Bの融合
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【6】ファンキーなリズム・ハーモニー

コード構成
Em7 | Em7 | Am7 | Am7 | Dm7 | Dm7 | G7 | G7
(各コード2拍ずつ、シンコペーション重視)

コード進行よりもリズムパターンに重点を置いた、ファンク寄りのR&Bアプローチです。

ファンキーなリズムの作り方

シンコペーションの技法:

  • オフビート強調:2拍目、4拍目のアクセント
  • 16分音符:細かいリズムパターン
  • ミュート奏法:ギターのパーカッシブな音
  • ベースとの連携:グルーヴの統一感

楽器別アレンジ

  • エレキギター:ワウペダルとカッティング
  • キーボード:クラビネットやエレピ
  • ベース:スラップ奏法の活用

【7】モーダル・インターチェンジ活用進行

コード構成
CM7 → Fm7 → Bb7 → CM7 → Dm7 → Gm7 → C7 → FM7
IM7 → IVm7 → bVII7 → IM7 → IIm7 → Vm7 → I7 → IVM7

モーダル・インターチェンジ(借用和音)を使用した、深みのあるR&B進行です。

借用和音の効果

Fm7の効果
・Cマイナーからの借用
・3度の音(E→Eb)の半音下降
・メランコリックな色彩
・現代R&Bの特徴的サウンド

Bb7の役割
・ミクソリディアン的響き
・ブルース感の演出
・自然な循環性

【8】ネオソウル風複雑進行

コード構成
F#m11 → B13 → EM9 → C#m7b5 → F#7alt → Bm9 → E13 → AM9
(キー:A、ネオソウル的転調含む)

ネオソウル特有の複雑で洗練されたコード進行。現代R&Bの最先端サウンドです。

ネオソウルの特徴

  • F#m11(浮遊感):11thテンションの開放性
  • B13(色彩感):13thの美しい響き
  • C#m7b5(緊張感):ハーフディミニッシュの不安定さ
  • F#7alt(解決感):オルタードの強い推進力
ネオソウル楽曲の構成例
  • イントロ:複雑なテンションコードでの雰囲気作り
  • Aメロ:シンプルな進行で歌を活かす
  • Bメロ:ネオソウル風複雑進行
  • サビ:感情的で印象的なハーモニー
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【9】コード・サブスティテューション技法

基本進行
Dm7 → G7 → CM7 → CM7
サブスティテューション後
Dm7 → Db7 → CM7 → C#dim7 → Dm7

トライトーン・サブスティテューションなどの高度な技法を使った進行です。

サブスティテューションの種類

トライトーン・サブ

  • G7 → Db7への置き換え
  • 同じトライトーン(B-F)
  • 半音下降による滑らかさ

ディミニッシュ挿入

  • CM7とDm7の間にC#dim7
  • 半音進行による接続
  • ジャズ的な洗練度

【10】ペダルポイント活用進行

コード構成
C/G → Am7/G → F/G → G7sus4 → C/G
(Gをペダルポイントとして維持)

ペダルポイント(持続低音)を活用した、統一感のあるR&B進行です。

ペダルポイントの効果

  • 統一感:低音Gによる一貫性
  • 浮遊感:上声部の和声変化
  • 現代的響き:ネオソウル的なサウンド
  • ドローン効果:瞑想的な雰囲気

ペダルポイント活用場面
・アンビエント系R&B
・瞑想的なセクション
・イントロ・アウトロ
・ボーカルのアドリブ背景

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【11】ヒップホップR&B風進行

コード構成
Bm7 → Em7 → F#7sus4 → F#7 → Bm7 → G7 → F#7 → Bm7
(キー:Bmナチュラルマイナー基調)

現代のヒップホップR&Bで使われる、ダークで現代的な進行パターンです。

ヒップホップR&Bの特徴

現代R&Bの要素:

  • マイナー調中心:ダークで都会的
  • シンプルな構造:ラップとの親和性
  • 808ドラムとの相性:重低音との融合
  • メロディック・ラップ:歌とラップの境界線

プロダクション・アプローチ

  • サンプリング活用:既存楽曲からの抽出
  • ローファイ処理:ヴィンテージ感の演出
  • シンセパッド:アンビエントな背景音

【12】オルタナティブR&B風進行

コード構成
Gsus2 → Am11 → Fmaj7#11 → Gsus2/D
(アンビエント・R&B風の浮遊感重視)

オルタナティブR&B(Alt-R&B)の実験的で革新的なアプローチです。

オルタナティブR&Bの革新性

革新的要素
・伝統的機能和声からの脱却
・テクスチャー重視のアプローチ
・電子音楽との融合
・実験的なサウンドデザイン

代表的アーティスト
・FKA twigs
・The Weeknd
・Frank Ocean
・Solange

DTMでR&B系進行を効果的に制作する方法

Logic ProでのR&B制作手順

Step 1: 基本設定
・BPM設定:80-120(ミディアムテンポ)
・拍子:4/4
・キー設定:Em, Am, Dm, Gmなどマイナー中心

Step 2: 音色選択
・Electric Piano:Vintage EP、Rhodes
・Organ:Hammond B3、Church Organ
・Synthesizer:Analog warmth系

Step 3: リズム・セクション
・ドラム:R&B kit、808サンプル
・ベース:Electric bass、Synth bass
・パーカッション:Tambourine、Shaker

楽器別アレンジのコツ

キーボード

  • テンションコードの美しいボイシング
  • Rhodes/Wurlitzer系の音色
  • 微細なタイミングのずれ

ギター

  • クリーントーンでのカッティング
  • ワウペダルの効果的使用
  • シンコペーション重視

ベース

  • グルーヴ感重視のフレージング
  • スラップ/フィンガー奏法
  • ドラムとのタイトな連携

ドラム

  • シャッフル/ハーフタイム・シャッフル
  • スネアの2、4拍+シンコペ
  • ハイハットの細かい刻み

楽曲構成でのR&B進行使い分け

イントロ向け進行

推奨進行
・テンション9th基本進行
・ペダルポイント活用進行

特徴
・ムードの設定
・洗練された導入
・聴き手の心を掴む響き

Aメロ向け進行

推奨進行
・マイナー7th中心の循環進行
・ゴスペル風IV-V-I進行

特徴
・歌詞を活かす落ち着いた響き
・感情を込めやすい進行
・安定感のある土台

サビ向け進行

推奨進行
・クロマチック・ハーモニー進行
・テンション13th色彩豊か進行

特徴
・感情的な高揚感
・豊かなハーモニー
・印象的なクライマックス

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実践例:本格的なR&B楽曲構成

現代R&B楽曲の構成例

【イントロ】
ペダルポイント:C/G → Am7/G → F/G → G7sus4

【Aメロ】
9th基本進行:Dm9 → G9 → CM9 → Am9

【Bメロ】
クロマチック:CM7 → C#dim7 → Dm7 → D#dim7 → Em7

【サビ】
ゴスペル風:F/G → G7 → C → C/E → F → Dm7 → G7sus4 → G7

【ブリッジ】
ネオソウル複雑:F#m11 → B13 → EM9 → C#m7b5

【アウトロ】
モーダル・インターチェンジ:CM7 → Fm7 → Bb7 → CM7

まとめ:R&B系コード進行でソウルフルな楽曲を

R&B音楽におけるコード進行は、テクニックと感情表現が高度に融合した芸術形式です。今回紹介した12の技法を習得し、適切に組み合わせることで、本格的でソウルフルなR&Bサウンドを作ることができます。

R&B制作のポイント:

  • ハーモニーの豊かさ:テンションコードによる色彩感
  • グルーヴの重要性:シンコペーションとリズム感
  • 感情の深化:音楽理論と感情表現の融合
  • 現代的発展:伝統的R&Bから最新トレンドまで
  • 楽器の特色:エレピ、オルガン、グルーヴィなリズム隊

ぜひこれらの技法を参考に、あなただけのソウルフルなR&B楽曲を作ってみてください。音楽の持つ深い感情表現力で、聴く人の心に響く素晴らしい楽曲が生まれることを願っています。

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