DTM PR

無料で音圧マキシマイズ!無料リミッター・マキシマイザープラグイン10選【2025年版】

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

「自分の楽曲が、プロの曲と比べて音が小さい…」「音圧を上げたいけど、高価なプラグインは買えない…」

DTM初心者の最大の悩みの一つが「音圧」です。音圧が低いと、Spotify、YouTube、Apple Musicなどのストリーミングプラットフォームで他の曲と並んだときに、明らかに音量が小さく聴こえてしまいます。

でも安心してください。無料でも十分に実用的なリミッター・マキシマイザープラグインは存在します。この記事では、DTM初心者でも今すぐ使える無料プラグイン10選と、正しい使い方を徹底解説します。

音圧とは?リミッター・マキシマイザーの基礎知識

音圧とは?音圧とは、音楽全体の「聴感上の音の大きさ」を指します。物理的なピーク音量とは異なり、人間の耳で感じる音の迫力や存在感のことです。

音圧が高い楽曲は、ストリーミングサービスで他の曲と並んだときに「埋もれない」「インパクトがある」と感じられます。

LUFS値で測る現代の音圧基準

LUFS(Loudness Units Full Scale)とは?LUFSは、人間の聴覚特性に基づいた音量測定単位です。従来のピーク値やRMS値よりも、実際に聴こえる音量に近い指標として、放送業界やストリーミングサービスで標準化されています。

  • -14 LUFS: Spotify、YouTube、Apple Musicの推奨値
  • -16 LUFS: ダイナミックな音楽(ジャズ、クラシック)
  • -8〜-10 LUFS: EDM、ヒップホップなど音圧重視ジャンル

主要ストリーミングサービスのLUFS目標値

  • Spotify: -14 LUFS(推奨)
  • YouTube: -13〜-15 LUFS
  • Apple Music: -16 LUFS(Sound Check適用時)
  • Amazon Music: -14 LUFS
  • Tidal: -14 LUFS

過度な音圧競争の問題点

2000年代の「ラウドネス戦争」により、多くの楽曲が-6 LUFS以下まで圧縮され、音質が犠牲になりました。現在は各ストリーミングサービスが自動ノーマライゼーション機能を搭載しているため、過度に音圧を上げても自動的に音量が下げられます。

目標: -14 LUFS前後で、ダイナミクスを保ちながら適切な音圧を確保すること

リミッターとマキシマイザーの違い

リミッターとは?リミッターは、設定した閾値(スレッショルド)を超える音をカットし、音割れ(クリッピング)を防ぐためのエフェクトです。

  • 超高速のコンプレッサー(レシオ∞:1)
  • 主な目的: 0dBFSを超えないようにする保護機能
  • トランジェント(瞬間的なピーク)のコントロール
マキシマイザーとは?マキシマイザーは、リミッター機能に加えて、音量を最大化するための専用プラグインです。

  • リミッター + ゲイン調整 + 音質補正アルゴリズム
  • 主な目的: 音圧を最大化しながら音質を維持
  • ルックアヘッド機能でピークを予測処理

使い分けのポイント

  • リミッター: トラック単位の保護、ドラムやベースのピーク管理
  • マキシマイザー: マスタートラックでの最終音圧調整

無料リミッター・マキシマイザープラグイン10選

ここからは、実際に使える無料のリミッター・マキシマイザープラグインを紹介します。すべてWindows/Mac対応、VST/AU形式で、DAWに簡単に導入できます。

1. LoudMax(推奨度: ★★★★★)

LoudMax – 最も定番の無料マキシマイザー

開発元: Thomas Mundt

対応OS: Windows、Mac(VST/AU)

特徴:

  • シンプルなインターフェースで初心者でも直感的に使える
  • 透明感のあるリミッティング処理
  • ISP(Inter-Sample Peak)検出機能搭載
  • CPU負荷が軽い

おすすめ設定:

  • Threshold: -0.3dB
  • Release: 50ms〜100ms
  • Link: 100%(ステレオリンク)

向いているジャンル: ポップス、ロック、エレクトロニカ全般

2. TDR Limiter 6 GE(推奨度: ★★★★★)

TDR Limiter 6 GE – プロ品質の無料リミッター

開発元: Tokyo Dawn Records

対応OS: Windows、Mac(VST/AU/AAX)

特徴:

  • 6つのリミッターステージを備えた高度な設計
  • True Peak検出機能(EBU R128準拠)
  • 詳細なメータリング機能
  • 有料版並みの音質

おすすめ設定:

  • Ceiling: -0.5dB(True Peak対応)
  • Mode: Transparent(透明性重視)
  • Peak Extension: Medium

向いているジャンル: マスタリング全般、配信用音源

3. W1 Limiter(推奨度: ★★★★☆)

W1 Limiter – 定番の老舗リミッター

開発元: George Yohng

対応OS: Windows、Mac(VST/AU)

特徴:

  • 長年愛用されている定番プラグイン
  • アグレッシブなリミッティング処理
  • Softness機能でナチュラルさを調整可能
  • 直感的なUI

おすすめ設定:

  • Threshold: -0.2dB
  • Release: 10〜50ms
  • Softness: 3〜5(音楽ジャンルによる)

向いているジャンル: EDM、ダンスミュージック、音圧重視の楽曲

4. Frontier(推奨度: ★★★★☆)

Frontier – D16 Groupのフリーリミッター

開発元: D16 Group

対応OS: Windows、Mac(VST/AU)

特徴:

  • 有料メーカーが提供する高品質フリーウェア
  • ブリックウォールリミッター
  • リアルタイムグラフィカルメーター
  • オーバーサンプリング機能搭載

おすすめ設定:

  • Ceiling: -0.3dB
  • Oversampling: 2x
  • Auto Gain: ON

向いているジャンル: ロック、メタル、パンク

5. Youlean Loudness Meter(推奨度: ★★★★★)

Youlean Loudness Meter – LUFS測定の必須ツール

開発元: Youlean

対応OS: Windows、Mac(VST/AU/AAX)

特徴:

  • LUFS、True Peak、ダイナミックレンジを正確に測定
  • EBU R128、ATSC A/85、ITU-R BS.1770準拠
  • ストリーミングプラットフォーム別プリセット
  • リアルタイムモニタリング

おすすめ設定:

  • Preset: Spotify、YouTube等のターゲットを選択
  • Integration: Short Term(9秒間の平均)
  • True Peak: ON(-1dBTP推奨)

向いているジャンル: 全ジャンル必須(測定用)

注意: リミッター機能はないが、音圧測定に必須のプラグイン

6. Limiter No6(推奨度: ★★★★☆)

Limiter No6 – Vladg/Sound製の多機能リミッター

開発元: Vladg/Sound

対応OS: Windows、Mac(VST/AU)

特徴:

  • 5バンドのマルチバンドリミッター
  • HF(高域)リミッター搭載
  • ISP(Inter-Sample Peak)検出
  • 詳細なビジュアルフィードバック

おすすめ設定:

  • Mode: Modern(透明性重視)
  • Ceiling: -0.3dB
  • ISP: ON

向いているジャンル: マスタリング、エレクトロニカ

7. Molot(推奨度: ★★★☆☆)

Molot – ビンテージスタイルのコンプレッサー/リミッター

開発元: Vladg/Sound

対応OS: Windows、Mac(VST/AU)

特徴:

  • アナログライクなキャラクター
  • サチュレーション機能搭載
  • 複数のリミッターモード
  • 温かみのあるサウンド

おすすめ設定:

  • Mode: Nuke(音圧重視)
  • Ratio: ∞:1(リミッターモード)
  • Release: Auto

向いているジャンル: ロック、ヒップホップ、ビンテージサウンド

8. SIR Audio Tools – StandardCLIP(推奨度: ★★★☆☆)

StandardCLIP – トランジェント特化型リミッター

開発元: SIR Audio Tools

対応OS: Windows、Mac(VST/AU)

特徴:

  • トランジェント(瞬間的なピーク)処理に特化
  • 軽量で動作が速い
  • シンプルなパラメーター
  • クリーンなリミッティング

おすすめ設定:

  • Ceiling: -0.1dB
  • Clip: Soft(ナチュラルなクリッピング)

向いているジャンル: ドラムバス、パーカッション処理

9. Klanghelm DC1A3(推奨度: ★★★★☆)

DC1A3 – シンプル操作のコンプレッサー/リミッター

開発元: Klanghelm

対応OS: Windows、Mac(VST/AU)

特徴:

  • たった2つのノブで操作できる簡潔さ
  • アナログモデリングの温かみ
  • Dual-Mono/Stereo切り替え可能
  • ミキシング段階でも使いやすい

おすすめ設定:

  • Input: 音圧に応じて調整
  • Output: ゲイン補正
  • Mode: Stereo Link

向いているジャンル: ボーカル、バストラック、グルーコンプ用途

10. Voxengo Elephant(推奨度: ★★★☆☆)

Voxengo Elephant – 老舗メーカーのマキシマイザー

開発元: Voxengo

対応OS: Windows、Mac(VST/AU)

特徴:

  • 多彩なリミッターモード(10種類以上)
  • ディザリング機能搭載
  • 詳細なメーター表示
  • プリセット豊富

おすすめ設定:

  • Mode: Modern(透明性)またはPunch(音圧重視)
  • Ceiling: -0.3dB
  • Release: 5〜10ms

向いているジャンル: 全ジャンル対応、マスタリング

注意: 無料版は旧バージョン(v4)で、最新版は有料

リミッター・マキシマイザーの正しい使い方

プラグインを導入しただけでは、音圧は上がりません。正しい設定と手順が重要です。

マスタートラックでの基本設定手順

ステップ1: ミックスの整理

  1. ヘッドルームの確保: マスタートラックのピークが-6dB〜-3dB程度になるよう調整
  2. 周波数バランスの最適化: EQで低域のモコモコ、高域のキンキンを除去
  3. ダイナミクスの整理: コンプレッサーで音量差を均一化

ミックス段階で整理すべき周波数帯域

  • 20Hz〜50Hz: ハイパスフィルターでカット(不要な超低域ノイズ除去)
  • 100Hz〜200Hz: ベースとキックの住み分け(モコモコの原因)
  • 2kHz〜5kHz: ボーカルとギターの競合を調整
  • 8kHz以上: 過度なシンバルやハイハットを抑える

ステップ2: リミッター/マキシマイザーの挿入

  1. マスタートラックの最後のスロットにプラグインを挿入
  2. リミッターのCeiling(天井)を-0.3dB〜-0.5dBに設定
  3. True Peak検出をONにする(ストリーミング配信では必須)

ポイント: True Peakとは?

デジタル音源をアナログ変換する際、サンプル間で発生する「隠れたピーク」をInter-Sample Peak(ISP)と呼びます。これが0dBFSを超えると、再生機器で音割れが発生します。

True Peak検出機能を使えば、-1dBTP(True Peak)以下に抑えることで、あらゆる再生環境で音割れを防げます。

ステップ3: ゲイン調整で音圧を上げる

  1. リミッターのInput Gainまたはゲインリダクションを少しずつ上げる
  2. ゲインリダクションメーターが3〜6dB程度動くまで調整
  3. 聴感で「歪み」「潰れ」がないかチェック

注意: 過度なゲインリダクションのリスク

  • 10dB以上のリダクション: 音が明らかに歪み、ダイナミクスが失われる
  • リミッターだけで音圧を稼ごうとしない: ミックス段階でのバランス調整が最優先

ステップ4: Release(リリースタイム)の調整

  1. 短いRelease(5〜20ms): アグレッシブで音圧が高いが、歪みやすい
  2. 長いRelease(50〜100ms): ナチュラルで透明感があるが、音圧は控えめ
  3. 楽曲のテンポとリズムに合わせて調整

ポイント: Auto Releaseを活用

多くのリミッターにはAuto Release(自動リリース)機能があります。これは楽曲の音楽的な変化に応じて、最適なリリースタイムを自動調整してくれる便利機能です。

迷ったら、まずAuto Releaseを試してみましょう。

ステップ5: LUFS値の確認

  1. Youlean Loudness MeterなどのLUFSメーターを挿入
  2. 楽曲全体を再生し、Integrated LUFSを確認
  3. ターゲットの-14 LUFS前後になるよう微調整

ジャンル別LUFS目標値

  • ポップス: -10〜-14 LUFS
  • ロック: -9〜-12 LUFS
  • EDM/ダンス: -8〜-10 LUFS
  • ヒップホップ: -9〜-11 LUFS
  • アコースティック/ジャズ: -14〜-16 LUFS
  • クラシック: -18〜-23 LUFS

よくある失敗パターンと対処法

失敗1: リミッターだけで音圧を稼ごうとする症状: 音が潰れて、ダイナミクスが失われる

原因: ミックス段階での音量バランスが悪い

対処法:

  • 各トラックの音量バランスを見直す
  • 不要な低域をEQでカット
  • コンプレッサーで音量のばらつきを整える
失敗2: Ceilingを0dBに設定してしまう症状: ストリーミングサービスやiPhoneで音割れが発生

原因: Inter-Sample Peak(ISP)による隠れたピーク

対処法:

  • Ceilingを-0.3dB〜-0.5dBに設定
  • True Peak検出機能をON
  • True Peakを-1dBTP以下に維持
失敗3: Releaseが短すぎる症状: 音が歪む、ポンピング(呼吸するような音量変化)が発生

原因: リミッターが音楽的な変化を追いかけられていない

対処法:

  • Releaseを50ms以上に設定
  • Auto Releaseを有効化
  • 楽曲のBPMに合わせた設定を試す

音圧を上げるための総合チェックリスト

ミックス段階(リミッター前)

  • □ マスタートラックのピークが-6dB〜-3dB
  • □ 各トラックの音量バランスが適切
  • □ 不要な低域(20Hz〜50Hz)をカット
  • □ ボーカルとメイン楽器が明瞭に聴こえる
  • □ コンプレッサーで音量のばらつきを整理
  • □ EQで周波数の競合を解消
  • □ リバーブ/ディレイが過剰でない

リミッター/マキシマイザー設定

  • □ Ceilingを-0.3dB〜-0.5dBに設定
  • □ True Peak検出をON(-1dBTP以下)
  • □ ゲインリダクションが3〜6dB程度
  • □ Releaseが適切(50ms〜100ms、またはAuto)
  • □ ステレオリンクが100%
  • □ オーバーサンプリングをON(CPU許容範囲で)

最終確認(歪みチェック)

  • □ Integrated LUFSがターゲット値(-14 LUFS前後)
  • □ True Peakが-1dBTP以下
  • □ ヘッドフォンで歪みがないか確認
  • □ スピーカーで全体のバランスを確認
  • □ スマートフォンで再生して違和感がないか
  • □ 他の楽曲と比較して音量が適切か

最重要チェック: A/Bテストを必ず実行

リミッターをON/OFFして、音質の変化を聴き比べましょう。リミッターをONにしたときに、「音が明らかに悪くなった」と感じたら、設定を見直す必要があります。

音圧を上げることは重要ですが、音質を犠牲にしてまで上げる価値はありません

まとめ: 無料プラグインでも十分な音圧は実現できる

この記事で紹介した無料リミッター・マキシマイザープラグイン10選を活用すれば、初心者でもプロレベルの音圧を実現できます。

音圧アップの3つの鉄則

  1. ミックス段階でのバランスが最優先: リミッターは最後の仕上げ
  2. LUFS値を基準に調整: -14 LUFS前後を目標に
  3. 音質を犠牲にしない: 過度な音圧競争は避ける

今すぐ試してほしいプラグイン

  • 初心者向け: LoudMax(シンプルで使いやすい)
  • マスタリング品質: TDR Limiter 6 GE(プロ仕様)
  • LUFS測定: Youlean Loudness Meter(必須ツール)

まずはこの3つをダウンロードして、実際に自分の楽曲で試してみてください。無料でも、正しい知識と設定があれば、商業レベルの音圧は実現可能です。

あなたの楽曲が、ストリーミングサービスで他の曲に埋もれず、しっかりと存在感を発揮できるよう、この記事が役立てば幸いです。

関連記事