「DTMを始めたいけど、何から覚えればいいの?」「専門用語が多すぎて混乱する」そんな悩みを抱えるDTM初心者の方は多いでしょう。DTMは確かに学ぶことが多い分野ですが、基礎となる重要なポイントは実はそれほど多くありません。
この記事では、DTM初心者が最初に押さえておくべき10の基礎知識を、実践的な観点から分かりやすく解説します。これらを理解すれば、DTMの学習がグッと効率的になります。
この記事で身につく知識
- DTMに必要な基本機材と役割
- DAWソフトの選び方と基本操作
- 音楽制作の基本ワークフロー
- 初心者が陥りがちな失敗の回避法
DTM初心者が最初に知るべき10の基礎知識
1. DTMとDAWの違いを理解する
まず最初に、DTMとDAWの違いを正しく理解しましょう。
DTM vs DAW
- DTM(Desktop Music): パソコンを使った音楽制作全般を指す概念
- DAW(Digital Audio Workstation): 音楽制作に使うソフトウェア
- 関係性: DTMを行うためにDAWソフトを使用する
つまり、「DTMを始める」ということは「DAWソフトを使って音楽制作を始める」ということになります。
2. 最低限必要な機材を把握する
DTMを始めるために本当に必要な機材は、実はそれほど多くありません。
DTM最低限セット(予算3-5万円)
- パソコン: Windows/Mac(メモリ8GB以上推奨)
- DAWソフト: 無料版から始めてOK
- ヘッドホン: 密閉型(1万円程度)
- オーディオインターフェース: USB接続(1-2万円)
初心者の誤解:高額機材は不要
「良い音を作るには高額な機材が必要」と思いがちですが、最初は基本セットで十分です。スキルが上がってから段階的に機材を追加していきましょう。
3. DAWソフトの選び方
DAWソフト選びは重要ですが、最初から完璧な選択をする必要はありません。
初心者におすすめDAW
- Logic Pro(Mac): 付属音源が豊富
- Cubase(Win/Mac): 総合力が高い
- Studio One(Win/Mac): 直感的な操作性
- GarageBand(Mac): 無料で始められる
選択のポイント
- OS対応: 使用PCに対応しているか
- 予算: 無料版から始めてもOK
- 音楽ジャンル: 作りたい音楽に適しているか
- 学習リソース: 日本語情報が豊富か
4. 音楽理論の基本(コードとスケール)
DTMに音楽理論は必須ではありませんが、基本的なコードとスケールを知っていると制作が格段に楽になります。
最初に覚えるべき音楽理論
基本コード(Key: C)
- メジャートライアド: C, F, G(明るい響き)
- マイナートライアド: Am, Dm, Em(暗い響き)
- 王道進行: C – G – Am – F(多くの楽曲で使用)
基本スケール
- Cメジャースケール: C-D-E-F-G-A-B(白鍵のみ)
- Aマイナースケール: A-B-C-D-E-F-G(Cメジャーと同じ音)
5. MIDIとオーディオの違い
DTMでは「MIDI」と「オーディオ」という2つのデータ形式を扱います。この違いを理解することは非常に重要です。
MIDI vs オーディオの違い
項目 | MIDI | オーディオ |
---|---|---|
データ内容 | 演奏情報(音程、長さ、強さ) | 実際の音波データ |
ファイルサイズ | 非常に小さい | 大きい |
編集性 | 音符単位で編集可能 | 波形として編集 |
音源 | ソフト音源が必要 | そのまま再生可能 |
重要:MIDIは音ではない
MIDIファイル単体では音は出ません。ソフト音源(VSTi)と組み合わせて初めて音になります。この概念を理解することがDTM上達の鍵です。
6. ソフト音源(VSTi)の基本
ソフト音源は、MIDIデータを実際の音に変換する重要な要素です。
ソフト音源の種類
- ピアノ音源: リアルなピアノサウンド
- シンセサイザー: 電子音を作り出す
- ドラム音源: ドラムキットの再現
- オーケストラ音源: 弦楽器・管楽器等
- ギター音源: エレキ・アコギの再現
最初はDAW付属の音源で十分ですが、慣れてきたら専用の音源を追加すると表現力が大幅に向上します。
7. 基本的な音楽制作の流れ
DTMでの楽曲制作には、基本的な流れがあります。この流れを把握することで、効率的に作業を進められます。
DTM楽曲制作ワークフロー
- 構想・企画: 作りたい楽曲のイメージを固める
- コード進行作成: 楽曲の骨格となるコード進行を決める
- メロディ作成: 主旋律を作る
- リズム・ドラム作成: 楽曲のグルーヴを作る
- ベースライン作成: 低音域の土台を作る
- アレンジ: 装飾的な楽器やパートを追加
- ミックス: 各楽器の音量・音質バランス調整
- マスタリング: 最終的な音質調整
8. 拍子・BPM・小節の理解
音楽の時間軸に関する基本概念を理解しましょう。
時間軸の基本概念
- BPM(Beats Per Minute): 1分間の拍数(テンポ)
- 拍子: 拍の組み方(4/4拍子が最も一般的)
- 小節: 拍子の単位でまとめた音楽の区切り
- グリッド: DAW上での時間軸の目盛り
BPMの目安
- バラード: 60-80 BPM
- ポップス: 120-140 BPM
- ロック: 120-160 BPM
- EDM: 128-140 BPM
9. オーディオインターフェースの役割
オーディオインターフェースは単なる「音の入出力装置」ではありません。DTMの音質に大きく影響する重要な機材です。
オーディオインターフェースの役割
- AD/DA変換: アナログ音声とデジタル音声の相互変換
- レイテンシ低減: 音の遅延を最小限に抑える
- 音質向上: PC内蔵音源より高品質な音声処理
- 入力拡張: マイクや楽器の直接録音が可能
10. 初心者が避けるべき3つの落とし穴
最後に、DTM初心者が陥りがちな失敗とその回避法をご紹介します。
よくある失敗と対策
1. 機材にお金をかけすぎる
- 問題: 高額機材を買っても作曲スキルは上がらない
- 対策: 最低限の機材で始めて、スキル向上と共に段階的にアップグレード
2. 完璧主義になりすぎる
- 問題: 1曲に時間をかけすぎて完成させられない
- 対策: 80%の完成度で次の曲に進む。数をこなすことが上達の近道
3. 理論を学ばずに感覚だけで進める
- 問題: 成長が頭打ちになる
- 対策: 基本的な音楽理論は並行して学習する
DTM上達のための実践的アドバイス
毎日のルーティン作り
DTMスキル向上には継続的な練習が不可欠です。効果的な練習方法をご紹介します。
おすすめ練習ルーティン(1日30分)
- 10分: 既存楽曲のコード進行をコピー
- 10分: 簡単なメロディ作成練習
- 10分: DAWの新機能や操作の習得
情報収集の方法
DTMは情報が重要です。効率的な学習リソースを活用しましょう。
- YouTube: 無料で高品質なチュートリアル動画
- DTM関連書籍: 体系的な知識習得
- オンラインコース: 構造化された学習プログラム
- コミュニティ: 他のDTMerとの交流と情報交換
まとめ: DTM初心者の心構え
DTMは決して難しい分野ではありません。この記事で紹介した10の基礎知識を押さえて、実際に手を動かしながら学習を進めてください。
DTM成功の3つのポイント
- 継続性: 毎日少しずつでも続ける
- 実践性: 理論だけでなく実際に作ってみる
- 楽しさ: 完璧を求めすぎず、楽しみながら学ぶ
最初は思うような音が作れなくても大丈夫です。基礎をしっかりと身につけて、継続的に練習を続けることで、必ずスキルアップできます。あなただけの音楽制作を楽しんでください!


