バラードで使われる感動的なコード進行10選を詳しく解説します。各進行の特徴、効果的な使い方、実際の楽曲での使用例、DTMでの打ち込み方法まで実践的に紹介しています。
- バラードのコード進行選びが楽曲の印象を決める
- 【1】4536進行(王道進行)- 最も感動的な定番パターン
- 【2】世界定番進行 – 安定感のある循環パターン
- 【3】サブドミナントマイナー進行 – 切なさを演出
- 【4】ドラマチックマイナー進行 – 感情の起伏を表現
- 【5】バックドア・ケーデンス – ジャズ的な洗練された響き
- 【6】オーギュメント進行 – 不安定感から美しい解決へ
- 【7】半音クロマチック進行 – なめらかな声部進行
- 【8】転調を含む展開進行 – 楽曲に変化を与える
- 【9】複雑なBメロ進行 – サビへの効果的な橋渡し
- 【10】循環系バラード進行 – 安定した美しい響き
- DTMでバラード進行を効果的に打ち込む方法
- 楽曲構成でのコード進行の使い分け
- 実践例:コード進行を組み合わせたバラード構成
- まとめ:バラードコード進行で心に響く楽曲を
バラードのコード進行選びが楽曲の印象を決める
バラードは楽曲の中でも特に感情表現が重要なジャンルです。適切なコード進行を選ぶことで、聴く人の心に深く響く楽曲を作ることができます。
バラードコード進行の特徴
・スローテンポ(BPM 60-120)
・感情的な起伏を表現
・美しい和声の響き
・歌詞と音楽の調和
今回は、実際に多くのバラードで使用されている10の定番コード進行を、その効果と使い方とともに詳しく解説します。
バラード制作におけるコード進行の重要性
バラードでコード進行が果たす役割:
- 感情の表現:喜び、悲しみ、希望などの感情を音楽で表現
- 楽曲構成:Aメロ→Bメロ→サビの流れを自然に作る
- 歌詞との調和:言葉の意味と音楽的な響きを一致させる
- 聴き手との共感:普遍的な感情に訴えかける力
【1】4536進行(王道進行)- 最も感動的な定番パターン
コード構成
F → G → Em → Am(キー:C)
IV → V → IIIm → VIm
4536進行は「王道進行」とも呼ばれ、バラードで最も使用頻度の高い進行です。
感情的な流れ
- F(希望):明るく前向きな気持ち
- G(高揚):感情の高まり、期待感
- Em(葛藤):少し切ない感情、内省
- Am(共感):深い感情、聴き手との共感
使用例と効果的な場面
有名楽曲での使用例:
・Let It Be(ビートルズ)
・チェリー(スピッツ)
・愛をこめて花束を(Superfly)
効果的な使用場面:
・サビ部分での感情的なクライマックス
・楽曲の核となるメッセージを伝える部分
https://anikiblog.com/anison-chord-progressions-25-selection-2025
【2】世界定番進行 – 安定感のある循環パターン
コード構成
C → G → Am → C(キー:C)
I → V → VIm → I
シンプルでありながら安定感のある進行。多くのバラードのAメロやイントロで使用されます。
特徴と効果
- 安心感:聴き手に親しみやすい響き
- 循環性:何度でも繰り返せる自然な流れ
- 歌詞を活かす:シンプルな和声で歌詞を引き立てる
バラードでの活用法
・イントロでの雰囲気作り
・Aメロでの安定した土台
・間奏部分での美しい響き
・エンディングでの余韻
【3】サブドミナントマイナー進行 – 切なさを演出
コード構成
C → F → Fm → C(キー:C)
I → IV → IVm → I
サブドミナントマイナー(Fm)を使用することで、同主短調からの借用和音による切ない響きを演出します。
音楽的効果
Fmがもたらす効果:
- 半音下降:「ラ」が「ラ♭」に変化
- 色彩変化:明るさから陰りへの変化
- 感情的深み:喜びと悲しみの混在
- 記憶に残る響き:印象的な和声効果
実用的な使い方
- Bメロ:サビへの橋渡しで感情を深める
- 楽曲の転換点:物語の展開を音楽で表現
- エンディング:余韻のある終わり方

【4】ドラマチックマイナー進行 – 感情の起伏を表現
コード構成
Am → G → F → G → E7(キー:C)
VIm → V → IV → V → III7
マイナーコードから始まる進行で、ドラマチックな展開を作り出します。
進行の特徴
- Am(始まり):深い感情、内省的
- G(展開):感情の動き、変化
- F(支え):安定感、支えとなる存在
- G(高まり):再び感情の高揚
- E7(解決):AmまたはCへの強い解決欲求
楽曲での活用例
・感情的なサビ部分
・物語性のある歌詞との組み合わせ
・ドラマチックな間奏
・クライマックスでの盛り上がり
【5】バックドア・ケーデンス – ジャズ的な洗練された響き
コード構成
Fm7 → B♭7 → CM7(キー:C)
IVm7 → ♭VII7 → IM7
ジャズから借用した洗練された進行。大人っぽいバラードに最適です。
音楽的特徴
和声的特徴:
・IVm7→♭VII7→Iの流れ
・ドミナント(G7)を使わない解決
・滑らかな声部進行
感情的効果:
・洗練された響き
・予想外の美しい解決
・ジャズ的な色彩感
実践での使い方
- Bメロ→サビ:洗練された橋渡し
- 楽曲の終わり:美しい終止感
- 間奏部分:ジャズ的な色彩を加える

【6】オーギュメント進行 – 不安定感から美しい解決へ
コード構成
C → Caug → F → G(キー:C)
I → Iaug → IV → V
オーギュメントコード(Caug)の不安定な響きから美しい解決への流れを作ります。
オーギュメントコードの効果
Caugコードの特徴:
- 構成音:C – E – G#(増5度)
- 響きの特徴:不安定で緊張感のある響き
- 解決欲求:安定したコードへの強い引力
- 色彩効果:独特な音響的美しさ
バラードでの活用法
- 感情の変化点:心境の変化を表現
- 美しい解決:CaugからFへの流れ
- 印象的な響き:記憶に残る効果
【7】半音クロマチック進行 – なめらかな声部進行
コード構成
F#m7♭5 → Fm6 → Em7 → A7(キー:C)
#IVm7♭5 → IVm6 → IIIm7 → VI7
半音ずつ下降するクロマチック進行。非常に洗練された響きを持ちます。
クロマチック進行の魅力
声部進行の美しさ
・各コードが半音ずつ下降
・スムーズな和声の流れ
・予想外の和声展開
・上級者向けの洗練された響き
感情的効果
・切ない下降感
・繊細な感情表現
・ドラマチックな展開
【8】転調を含む展開進行 – 楽曲に変化を与える
コード構成
C → Am → F → G → E → A → D → G(キー:C→G)
I → VIm → IV → V → (転調) V/V → V → I → IV
楽曲の中で転調を行い、新鮮な響きと感情の変化を演出します。
転調の効果
- E(転調の要):AメジャーキーのV7として機能
- 新鮮感:調性の変化による色彩の変化
- 感情的高揚:楽曲の盛り上がりを演出
- 構成的効果:楽曲に起承転結を作る
- Aメロ:Cメジャーキーで安定した導入
- Bメロ:転調への準備、感情の変化
- サビ:Gメジャーキーで明るく開放的に
- エンディング:元のキーまたは新しいキーで終止

【9】複雑なBメロ進行 – サビへの効果的な橋渡し
コード構成
CM7 → Cm → Bm7 → B♭M7 → Am → Bm → C → D → Esus4 → E7
IM7 → Im → VIIm7 → ♭VIIM7 → VIm → VIIm → I → II → IIIsus4 → III7
サビ前のBメロで使える複雑で展開的な進行。サビへの期待感を高めます。
各コードの役割
前半部分
- CM7→Cm:明→暗の色彩変化
- Bm7→B♭M7:半音下降
- Am:一時的な安定
後半部分
- Bm→C→D:上昇する流れ
- Esus4→E7:サビへの強い導入
- 期待感の最大化
【10】循環系バラード進行 – 安定した美しい響き
コード構成
C → Em → Am → F → G → C
I → IIIm → VIm → IV → V → I
循環コードをベースにしたバラード向けアレンジ。安定感がありながら美しい響きを持ちます。
循環進行の特徴
なぜ循環進行が効果的か:
- 自然な流れ:無理のない和声進行
- 覚えやすさ:聴き手にとって親しみやすい
- 汎用性:様々な楽曲に応用可能
- アレンジの自由度:テンポや楽器編成で表情を変化
バラードでのアレンジポイント
- テンポ:BPM 70-90のスローテンポ
- 楽器編成:ピアノ、ストリングス、アコースティックギター
- ダイナミクス:静かな始まりから徐々に盛り上がり

DTMでバラード進行を効果的に打ち込む方法
Logic Proでのバラード制作手順
Step 1: 基本設定
・BPM設定:70-90(スローバラード)
・拍子:4/4
・キー設定:C, G, F, A♭など歌いやすいキー
Step 2: コード進行の打ち込み
・ピアノ音色で基本進行を確認
・ベロシティ:80-100(優しいタッチ)
・音価:全音符や2分音符でゆったりと
Step 3: アレンジ要素の追加
・ストリングス:和音の厚みを追加
・アコースティックギター:アルペジオで装飾
・ベース:シンプルなルート弾き
楽器別アレンジのコツ
ピアノ
- 左手:低音でルートを支える
- 右手:美しいボイシングで和音
- ペダル:響きを豊かに
ストリングス
- レガート奏法で滑らか
- ディビジで和音を分散
- クレッシェンドで感情表現
アコースティックギター
- フィンガーピッキング
- アルペジオで装飾
- カポタストで調整
ベース
- ルート中心のシンプルな動き
- 歌を邪魔しない控えめな音量
- 和音変化に合わせて移動
楽曲構成でのコード進行の使い分け
Aメロ向け進行
推奨進行
・世界定番進行(C→G→Am→C)
・循環系進行(C→Em→Am→F→G→C)
特徴
・安定感のある響き
・歌詞を聞かせやすい
・シンプルで親しみやすい
Bメロ向け進行
推奨進行
・サブドミナントマイナー進行
・クロマチック進行
・複雑なBメロ進行
特徴
・サビへの橋渡し
・感情の変化を表現
・展開的で変化に富む
サビ向け進行
推奨進行
・4536進行(王道進行)
・ドラマチックマイナー進行
・転調を含む展開進行
特徴
・感情的なクライマックス
・印象に残る響き
・楽曲の核となる部分

実践例:コード進行を組み合わせたバラード構成
【イントロ】
世界定番進行:C → G → Am → C
【Aメロ】
循環系進行:C → Em → Am → F → G → C
【Bメロ】
サブドミナントマイナー:C → F → Fm → G
【サビ】
4536進行:F → G → Em → Am
→ F → G → C
【間奏】
オーギュメント進行:C → Caug → F → G
【エンディング】
バックドア・ケーデンス:Fm7 → B♭7 → CM7
まとめ:バラードコード進行で心に響く楽曲を
バラードにおけるコード進行は、聴く人の感情に直接訴えかける重要な要素です。今回紹介した10のパターンを理解し、適切に使い分けることで、より感動的な楽曲を作ることができます。
バラード制作のポイント:
- 感情の流れ:コード進行で物語を作る
- 歌詞との調和:言葉と音楽の一体感
- 適切なテンポ:BPM 70-90の範囲で歌詞を活かす
- 楽器選択:ピアノ、ストリングス、アコギを中心に
- ダイナミクス:静と動のコントラストで感情表現
ぜひこれらのコード進行を参考に、あなただけの感動的なバラードを作ってみてください。音楽の力で人の心に寄り添える素晴らしい楽曲が生まれることを願っています。