レスポールタイプのギターを使っていて「音がこもって抜けが悪い」と感じたことはありませんか?レスポールは素晴らしいサウンドを持つギターですが、構造上の特徴により音がこもりやすいという課題があります。
この記事では、レスポールの音がこもる根本的な原因を解説し、すぐに実践できる5つの対策法をご紹介します。
この記事で分かること
- レスポールの音がこもる3つの主要原因
- 今すぐ試せる5つの具体的対策
- ピックアップセッティングの最適化方法
- アンプ設定での改善テクニック
レスポールの音がこもる3つの主要原因
1. ハムバッカーピックアップの特性
レスポールに搭載されているハムバッカーピックアップは、ノイズキャンセリング機能により高音域がカットされがちです。シングルコイルと比較すると、以下の特徴があります:
ハムバッカーの音響特性
- 周波数特性: 3kHz〜5kHz帯域の減衰
- 出力: 高出力により中低域が強調
- 磁気特性: 2つのコイルによる相互干渉
2. ボディ材とネックの影響
レスポールの厚いマホガニーボディとセットネック構造は、豊かな中低域を生み出しますが、同時に高音域の透明感を抑制します。
3. ピックアップの高さ設定
多くのレスポールで見落とされがちなのが、ピックアップの高さ設定です。弦に近すぎると磁力が強すぎて弦の振動を妨げ、遠すぎると出力不足になります。
レスポールの音抜けを改善する5つの対策法
対策1: ピックアップ高さの最適化
推奨ピックアップ高さ(フレット押弦時)
- ネック側(フロント): 2.5〜3.0mm
- ブリッジ側(リア): 2.0〜2.5mm
- 各弦のバランス: 6弦側を基準に1弦側を0.5mm低く
調整手順:
- 12フレットを押弦した状態で測定
- ピックアップリングのネジで高さを調整
- 実際に演奏しながら音のバランスを確認
- 録音して客観的に判断
対策2: トーンポットの活用
レスポールのトーンコントロールは単なる高音カットではありません。適切に使用することで音の明瞭度を向上させることができます。
効果的なトーンポット設定
- リズムプレイ: 6〜7(適度な高音カット)
- リードプレイ: 8〜9(明瞭さ重視)
- クリーンサウンド: 9〜10(自然な響き)
対策3: アンプ設定での改善
レスポールの特性を理解した上でアンプ設定を最適化することが重要です。
EQ設定例
- High: +2〜+3
- Mid: -1〜0
- Low: 0〜+1
プレゼンス設定
- クリーン: 3〜4
- クランチ: 4〜5
- ディストーション: 2〜3
対策4: 弦の選択と交換頻度
弦の種類と状態は音の明瞭度に大きく影響します。レスポールに適した弦選びのポイントをご紹介します。
おすすめ弦の種類
- ニッケル弦: バランスの良い音色(Ernie Ball Regular Slinky等)
- ステンレス弦: 明瞭な高音域(D’Addario XL等)
- コーティング弦: 長期間の明瞭度維持(Elixir等)
交換のタイミング:
- 練習頻度が高い場合: 2〜3週間
- 週末プレイヤー: 1〜2ヶ月
- ライブ前: 必ず新しい弦に交換
対策5: ピックアップの交換・改造
根本的な改善を求める場合は、ピックアップ自体の交換を検討しましょう。
音抜け改善におすすめのピックアップ
- Seymour Duncan JB/59 Set: クラシックな明瞭度
- DiMarzio PAF Pro: 現代的な音抜け
- Gibson BurstBucker: ヴィンテージトーンと明瞭度の両立
ジャンル別・音抜け対策の使い分け
ブルース・ジャズ系
- ネックピックアップ中心の使用
- トーンポット7〜8での温かみのある音作り
- アンプの自然な歪みを活用
ロック・ハードロック系
- ブリッジピックアップでのパワーコード
- トーンポット9〜10でのアタック重視
- ミッドレンジのブースト設定
メタル系
- 高出力ピックアップへの交換推奨
- プレゼンスを抑えめに設定
- ゲートエフェクトでのノイズ対策
実践的なトラブルシューティング
よくある失敗例と対処法
- 高音を上げすぎ: 耳に刺さる音になる → ミッドレンジで調整
- ピックアップが高すぎ: 弦振動の阻害 → 0.5mm下げて調整
- 古い弦の使用: 根本的な曇り → 定期的な弦交換
まとめ: レスポールの音抜け改善は段階的に
レスポールの音がこもる問題は、一つの要因だけでなく複数の要素が絡み合って発生します。この記事で紹介した5つの対策を段階的に試してみてください。
改善の優先順位
- 即効性: ピックアップ高さ調整、弦交換
- 設定見直し: アンプEQ、トーンポット活用
- 根本改善: ピックアップ交換、配線改造
最も重要なのは、自分の演奏スタイルや求める音色に合わせて調整することです。録音しながら客観的に判断し、バンドメンバーや信頼できる耳を持つ人にも意見を聞いてみましょう。
適切な対策により、レスポールは豊かな中低域を保ちながら、優れた音抜けを実現できる素晴らしい楽器になります。

