ペダルポイント(持続低音)の基本理論から実践的な活用方法まで詳しく解説します。アニソンやJ-POPでの使用例、DTMでの打ち込み方法も紹介しています。
ペダルポイントとは?基本概念を理解しよう
ペダルポイント(Pedal Point)とは、特定の音(通常はベース音)を固定しながら、その上でコード進行を展開する作曲技法です。別名「持続低音」とも呼ばれます。
基本的な仕組み
ベース音:C(固定)
コード:F/C → G/C → Em/C → Am/C
この技法により、安定感と緊張感の絶妙なバランスを生み出すことができます。
なぜペダルポイントが効果的なのか?
ペダルポイントの効果:
- 統一感:固定された低音が楽曲全体をまとめる
- 浮遊感:上声部の変化と固定低音のコントラスト
- 緊張感:不協和音程が生まれることがある
- 推進力:解決への期待感を高める
ペダルポイントの種類と特徴
1. トニックペダル(主音ペダル)
最も基本的なタイプで、主音(キーの1度)を持続させます。
Cメジャーキーの例
C → F/C → G/C → C
特徴:
- 安定感が強い
- 楽曲の始まりや終わりによく使われる
- 初心者にも扱いやすい
2. ドミナントペダル(属音ペダル)
5度の音を持続させるタイプです。最も緊張感を生み出します。
Cメジャーキーの例
G → F/G → Em/G → Dm/G → G
特徴:
- 強い緊張感
- 解決への期待感を高める
- サビ前やブリッジで効果的
3. サブドミナントペダル(下属音ペダル)
4度の音を持続させるタイプです。
Cメジャーキーの例
F → C/F → Dm/F → Bb/F
特徴:
- 温かみのある響き
- バラード系楽曲に適している
- 情緒的な表現に優れる
https://anikiblog.com/anison-chord-progressions-25-selection-2025
実際の楽曲での使用例
アニソンでの活用例
Aメロ部分:
GbM9 | Gb9 | Ebm/Gb | CbM7/Gb | Cbm/Gb | Bbm7 |
サビ部分:
Gb | Bb9/Gb | DbmM7(11,13)/Gb | Ebm7/Gb | Eaug7/Gb | Gb7-5 |
この楽曲では、Gbのペダルトーンを効果的に使用して、安定感と統一感を生み出しています。
J-POPでの定番パターン
王道進行のペダルポイント版
F/C → G/C → Em/C → Am/C
通常の王道進行(F → G → Em → Am)にCのペダルポイントを加えることで、浮遊感のある独特な響きを生み出します。

DTMでの実践的な打ち込み方法
Logic Proでの作成手順
Step 1: ベース音を持続させる
– 低音域でペダル音を長く伸ばす
– ソフトシンセやベースサウンドを使用
Step 2: 上声部でコード進行を作る
– ピアノやストリングスで和音を配置
– ペダル音と重複しないボイシングを意識
Step 3: バランス調整
– ペダル音の音量を適切に設定
– EQで低音域を整理
ボイシングのコツ
効果的なボイシング:
- オープンボイシング:音程を広く取る
- ペダル音の重複を避ける:上声部には同じ音を入れない
- 3度と7度を意識:コードの特徴音を明確に
- テンションコードの活用:9th、11th、13thを効果的に使用

ジャンル別ペダルポイント活用法
バラード・アコースティック
Am/C → F/C → G/C → C
温かみのあるサウンドで、感情豊かな表現が可能
楽器構成:
- アコースティックギター(アルペジオ)
- ピアノ(上声部コード)
- ベース(ペダル音)
- ストリングス(パッド)
ロック・ポップス
Dm/C → G/C → Em/C → Am/C
力強いサウンドで、エネルギッシュな表現
楽器構成:
- エレキギター(パワーコード)
- ベース(ペダル音強調)
- ドラム(ドライブ感)
- シンセ(厚みを加える)
エレクトロニック・EDM
Am/E → F/E → C/E → G/E
シンセベースでのペダル音が特徴的
制作ポイント:
- サブベースでペダル音を強調
- フィルターワークで変化をつける
- アルペジエーターでリズム感を演出

応用テクニックとバリエーション
1. 移動するペダルポイント
セクション1:C → F/C → G/C → Am/C
セクション2:F → Bb/F → C/F → Dm/F
ペダル音を段階的に移動させることで、大きな流れを作り出します。
2. 上声部ペダルポイント
例:C/E → F/E → G/E → Am/E
高音域で特定の音を持続させる技法
3. ダブルペダルポイント
例:C/G/C(低音Cと高音Gを同時に持続)
上下両方でペダル音を使用する高度な技法
作曲・アレンジでの効果的な使い方
楽曲構成での配置
- イントロ:楽曲の世界観を作る
- Aメロ:安定感を保ちながら展開
- Bメロ:緊張感を高めてサビへ
- サビ前:期待感を最大限に
- ブリッジ:新しい展開への橋渡し
- アウトロ:余韻を残して終了
注意点とコツ
効果的に使うためのポイント:
- 長すぎない:4〜8小節程度が効果的
- 解決を意識:ペダル音から自然な流れで次へ
- メロディーとの調和:歌メロとの相性を確認
- 音域のバランス:他の楽器との棲み分け

練習問題:実際に作ってみよう
課題1:基本編
以下のキーでトニックペダルを作ってみましょう
• Gメジャー:G → C/G → D/G → Em/G
• Fメジャー:F → Bb/F → C/F → Dm/F
課題2:応用編
ドミナントペダルで緊張感のある進行を作ってみましょう
• Cメジャー:G → F/G → Em/G → Dm/G → G
まとめ:ペダルポイントで楽曲に深みを
ペダルポイントは、シンプルながら非常に効果的な作曲技法です。固定された低音が生み出す安定感と、上声部の変化が作る緊張感のバランスが、楽曲に独特の魅力を与えます。
今回学んだポイント:
- トニック、ドミナント、サブドミナントペダルの使い分け
- ジャンルに応じた活用方法
- 楽曲構成での効果的な配置
- DTMでの実践的な打ち込み方法
ぜひあなたの楽曲制作にもペダルポイントを取り入れて、より豊かで印象的な音楽表現を目指してください!
