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王道進行(4536)の使い方とバリエーション

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目次
  1. はじめに:音楽界の王様「王道進行」
  2. 王道進行の基本構造:なぜ「王道」なのか
  3. アニソン・J-POPでの実用例
  4. 王道進行の多彩なバリエーション
  5. 初心者向け:王道進行の練習方法
  6. 中級者向け:アレンジテクニック
  7. 上級者向け:現代的アプローチ
  8. DTMでの王道進行制作テクニック
  9. 王道進行を使った作曲エクササイズ
  10. よくある間違いと対処法
  11. 楽曲分析:王道進行の名曲例
  12. まとめ:王道進行をマスターして楽曲制作の核心を掴もう

はじめに:音楽界の王様「王道進行」

「なぜこのコード進行を聴くと、こんなにも心が動かされるのだろう?」

その答えが、今回解説する「王道進行」(4536進行:IV-V-iii-vi)です。この進行は、日本のポップスやアニソンで圧倒的な人気を誇り、「王道」と呼ばれるほど多くの楽曲で使用されています。

王道進行(4536進行)とは?
キーCの場合:F → G → Em → Am
度数表記:IV → V → iii → vi

この記事では、王道進行の魅力から実践的な使い方、さらには上級者向けのアレンジテクニックまで、初心者から上級者まで役立つ内容を詳しく解説します。

王道進行の基本構造:なぜ「王道」なのか

1. 感情の起伏を完璧に表現する進行

王道進行が多くの楽曲で愛用される理由は、その完璧な感情表現にあります。

各コードの役割と感情効果

  • IV(F):温かみのあるサブドミナント(安心感の提供)
  • V(G):緊張感を生むドミナント(期待の高まり)
  • iii(Em):切ないマイナーコード(感情の転換点)
  • vi(Am):深い余韻を残すサブメディアント(情緒的な着地)

この「安心 → 期待 → 切なさ → 余韻」という流れが、聴く人の心に強い印象を残します。

2. 日本人の感性に響く理由

音楽的特徴

• メロディックな美しさ
• 自然なベースライン
• 歌いやすい音程関係
• 覚えやすい構造

文化的背景

• 日本の美意識「物の哀れ」
• 季節の移ろいを表現
• 感情の繊細な変化
• ノスタルジックな響き

アニソン・J-POPでの実用例

基本形での使用パターン

サビでの典型的な使用例コード進行:F → G → Em → Am
使用場面:サビの最初の4小節
効果:強烈なインパクトと記憶に残る印象

発展形1:8小節での拡張パターン

よく使われる8小節拡張例

| F    | G    | Em   | Am   |
| F    | G    | C    | C    |

後半4小節で「F → G → C」と明るく解決することで、希望的な印象を加えます。

発展形2:コードの細分化

2小節ずつの配置例

| F    | F    | G    | G    |
| Em   | Em   | Am   | Am   |

各コードを2小節ずつ配置することで、より重厚感のある進行になります。

ポイント
テンポによって最適な配置が変わります。バラードなら2小節ずつ、アップテンポなら1小節ずつが効果的です。

王道進行の多彩なバリエーション

バリエーション1:テンションコードの活用

基本からテンション追加への発展

基本形: F     → G     → Em    → Am
発展形: FM7   → G7    → Em7   → Am7
高度形: FM7   → G7sus4→ Em11  → Am9
豊潤形: Fadd9 → G13   → Em7♭5→ Am7add4

それぞれのテンションが持つ効果:

  1. FM7:上品で洗練された響き
  2. G7sus4:浮遊感のある緊張感
  3. Em11:現代的で複雑な切なさ
  4. Am9:深い余韻と開放感

バリエーション2:転回形とベースライン

スムーズなベースラインを作る転回形

コード: F     → G     → Em/B  → Am/C
ベース: F     → G     → B     → C

Em/BとAm/Cを使うことで、ベースラインが「F → G → B → C」となり、上昇する美しいラインが生まれます。

バリエーション3:リハーモナイゼーション

代理コードを使った再和声

原形:    F    → G    → Em   → Am
代理1:   Dm   → G    → C    → Am  (IVをiiに)
代理2:   F    → G    → C    → F   (iii-viをI-IVに)
代理3:   F    → Em   → Dm   → G   (順序変更)

初心者向け:王道進行の練習方法

ステップ1:基本形の完全習得

練習用基本進行(キーC)

| F    | G    | Em   | Am   |
  IV     V      iii    vi

まずは右手でメロディック、左手で単音ベースから始めましょう。

ステップ2:他のキーでの練習

キーG の場合C → D → Bm → Em

キーF の場合Bb → C → Am → Dm

ステップ3:リズムパターンの習得

おすすめリズムパターン

  • 4/4バラード:全音符でゆったりと
  • 8ビートポップス:軽快なリズム
  • 16ビートR&B:細かい刻みで現代的に
  • 3/4ワルツ:優雅な3拍子

中級者向け:アレンジテクニック

1. ボイシングの工夫

スムーズボイスリーディング例

FM7:  F-A-C-E (基本形)
G7:   F-G-B-D (トップノートF維持)
Em7:  E-G-B-D (共通音G,B,D活用)
Am7:  E-A-C-E (トップノートE維持)

2. 経過音・刺繍音の追加

中級者向けTips
FからGへ移る際に「F → F# → G」のような経過音を入れると、より洗練されたサウンドになります。

3. リズムの変化とシンコペーション

リズミカルなアレンジ例

通常: |F   |G   |Em  |Am  |
変化: |F F |G G |Em Em|Am Am|
      1&2&3&4&1&2&3&4&...

上級者向け:現代的アプローチ

1. モダンハーモニーの融合

現代ジャズ風アレンジ

FM7#11 → G7alt → Em7♭5 → Am11

アッパーストラクチャーとアルタード・スケールを活用した現代的なリハーモナイゼーション。

2. ジャンル別アプローチ

ネオソウル風

FM9 → G13 → Em11 → Am9add4
豊かなテンションで都会的に

ジャズファンク風

F7 → G7 → Em7 → Am7/D
ドミナント7thでファンキーに

3. ポリコードとアッパーストラクチャー

複雑な響きを作る上級テクニック

F/G → G/A → Em/F# → Am/B

分数コードを使用することで、より複雑で現代的な響きを作り出します。

DTMでの王道進行制作テクニック

MIDIプログラミングのポイント

ベロシティとアーティキュレーション

  • F:ベロシティ90、温かみのあるアタック
  • G:ベロシティ100、緊張感を表現
  • Em:ベロシティ85、切なさを演出
  • Am:ベロシティ75、余韻を大切に

音源とエフェクトの選択

おすすめ音源設定
• ピアノ:Acoustic Grand + 軽いホールリバーブ
• ストリングス:Chamber Strings + Long tail reverb
• シンセパッド:Analog Pad + Chorus + Delay

王道進行を使った作曲エクササイズ

練習課題1:メロディー作成

効果的なメロディーライン作成のコツ

  • F部分:AやCの安定した音程から開始
  • G部分:BやDで緊張感を演出
  • Em部分:GやBで切なさを表現
  • Am部分:AやCで余韻を残す

練習課題2:16小節の楽曲構成

基本的な16小節構成例

A: | F    | G    | Em   | Am   |
   | F    | G    | Em   | Am   |
B: | F    | G    | C    | C    |
   | F    | G    | C    | Am   |

よくある間違いと対処法

初心者が陥りやすいミス

注意すべきポイント
1. テンポが速すぎて感情表現が浅くなる
2. 各コードの特性を活かしきれていない
3. ベースラインが単調
4. ダイナミクスの変化がない

改善のためのアドバイス

解決方法

  1. 適切なテンポ設定:BPM 80-120の範囲で感情を表現
  2. コードの個性を理解:各コードの機能を意識した演奏
  3. ベースラインに変化:転回形やウォーキングベース
  4. ダイナミクス設計:強弱をつけて立体的な演奏

楽曲分析:王道進行の名曲例

アニソンでの効果的な使用例

サビでの印象的な使用パターン

構成: イントロ → Aメロ → Bメロ → サビ
サビ: | F    | G    | Em   | Am   |
      | F    | G    | C    | C    |

最初の4小節で王道進行を使い、後半で明るく解決する定番パターン。

Bメロでの転換効果

Bメロから王道進行への効果的な導入

Bメロ: | Dm   | G    | C    | Am   |
王道:   | F    | G    | Em   | Am   |

BメロでのDm → G → C → Amから王道進行へ移ることで、感情の高まりを演出。

まとめ:王道進行をマスターして楽曲制作の核心を掴もう

王道進行は、その名前が示すように、多くの名曲で使われる「王道」中の「王道」です。

王道進行マスターへの道筋

  • ✅ 基本形(IV-V-iii-vi)を完璧に演奏できる
  • ✅ 様々なキーで自在に転調できる
  • ✅ テンションやアレンジを駆使した発展形を習得
  • ✅ 楽曲の効果的な場面で活用できる
  • ✅ 他の進行との組み合わせをマスター

この進行をマスターすることで、あなたの楽曲に日本人の心に響く「エモーショナル」な魅力を与えることができるでしょう。

次のステップ
王道進行をマスターしたら、「6415進行」や「1625進行」など、他の循環進行も学んでみましょう。それぞれの進行の特色を理解することで、楽曲に合わせた最適な進行選択ができるようになります。


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